《私の横たわる内臓 My Organs Lying on the Ground》2024、映像、11分
<展示期間>
2024年9月17日(火)〜10月14日(月祝)
開場時間:11:00−19:00(最終入場18:45)
休場日:月曜日
<展示概要>
この度、CREATIVE HUB UENO “es”では、副島しのぶ個展「私の横たわる内臓、循環するhub」を2024年9月17日(火)〜10月14日(月祝)に開催します。
副島しのぶは、立体アニメーションの技法をもちいて短編映画や映像作品を制作しています。第86回オーバーハウゼン国際短編映画祭にてエキュメニカル審査員によるスペシャルメンション賞を受賞する等、国際的にも注目を集める若手映像作家です。
本展では、最新作《私の横たわる内臓》(2024年、映像11分)の一部を元に、Creative Hub Ueno “es”に合わせて映像インスタレーションとして展開します。ギャラリー空間を臓器内部に見立て、東京のhubとも言える上野駅内で展示することで、都市と個との循環を試みます。
<展示作品>
《私の横たわる内臓 My Organs Lying on the Ground》2024、映像、11分
《私の横たわる内臓 My Organs Lying on the Ground》(2024、映像11分、アニメーション)より、本展のために特別編集されたディレクターズカット版を3つの映像作品として展開します。さらには、アニメーション制作に使用した人形やセットの一部も展示します。
■《私の横たわる内臓 My Organs Lying on the Ground》(2024、映像11分、アニメーション)とは
日本の民間信仰である胎内潜りと、その霊性的な空洞世界を舞台にした立体アニメーション。日本語の「胎内」は生物学的臓器を指すだけでなく、仏像内部の空洞をも意味しており、そこはあらゆる生命体の始まりの場所であり、死後の安楽地のような、神秘的でどこか暗い、無限の空白が存在している。そこでは生物と物質の境界線は溶解し、外界と内界は絶えず反転し続ける。あるいは、主体と客体、内と外、といった二項対立的な構造を分解し、私たちの肉体と土地の混濁した関係性そのものを可視化する。
<アーティストステートメント>
私は、アニメーションを「死から生」へと転換する動力」であるとし、米、肉、虫といった有機物と人形をアニメートすることで、内と外、生物と非生物、主体と客体、死と生、といった相反するもの同士の境界線を摩擦し、溶解させることを試みる。 あるいは、私たちの肉体と土地との混濁した関係を問い直すことはできないだろうか。
人形や有機物をアニメートする中で、時に互いに干渉し、あるいは汚れることによって、肉体の一部がある一方に移ることがある。相反するもの同士の摩擦は、まるで贈与関係のように、主体と客体、内と外といった異なるもの同士の境界を融和させていく。
私はこのような現象を「内と外の循環 Inside Out/Outside In Cycle」と呼んでいる。私たちは土から生まれた穀物を食べ、それを排泄して、排泄したものが土に戻りそこからまた穀物は生まれる…その内と外が循環するサイクルの中で生きている。
自分の内臓は他人の内臓になるかもしれない、あるいは他人の内臓は私の内臓になるのかもしれない。私は他者であり、他界が私である…。このようなマルチスピーシーズな考え方は、主体と他者との関係を捉え直す術にはならないだろうか。私は、アニメーションという動力と、伝統的な人形の機能を駆使し、これら境界線を融和する方法を模索している。今日の私たちには、対岸の他者と接続する術を必要としているのではないだろうか。
<プロフィール>
副島しのぶ(そえじま しのぶ)
立体アニメーションの技法を使った短編映画や映像、写真、立体作品を制作。アニメーションを「死から生へと転換する動力」とし、人形身体や経年劣化の伴う有機物を使うことで、死や影といった日常の中の異界を探る。主な受賞歴に第 68 回オーバーハウゼン国際短編映画祭 エキュメニカル審査員によるスペシャルメンション賞、第 22 回 文化庁メディア芸術祭 審査員推薦作品、アートアワードトーキョー丸の内 2018 木村絵理子賞など、国内外の映画祭で受賞、展覧会で発表している。現在、東京藝術大学大学院映像研究科映像メディア学専攻 博士後期課程に在籍。
■アーティストのウェブサイト
https://www.shinobusoejima.com
主な展示
2018 第 22 回 文化庁メディア芸術祭 審査員推薦作品
2018 アートアワードトーキョー丸の内 2018 木村絵理子賞
2022 第 68 回オーバーハウゼン国際短編映画祭 エキュメニカル審査員によるスペシャルメンション賞
2022 個展 Blink in the Desert (ASK? Kimura/東京)